え~、海外で「ロキソニンが欲しい」と言っても通じないってホント?

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頭痛は大きく分けて「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」の3種類に分けられ、このうち片頭痛と群発頭痛については市販薬では対処できないため医師の診察と投薬が必要です。
前回投稿した「片頭痛」と「群発頭痛」については下記をご参照願います。

【今さら聞けない片頭痛】これを読めば女性の悩みに寄り添えるハズ⁉

【あの有名人も群発頭痛だった⁉】あのワクチンは救世主になれるか?

 

今回は「緊張型頭痛」についての投稿となります。
緊張型頭痛は、目や肩・首の筋肉の疲れ・緊張が主な原因とされ、多くが一過性で放置しても知らぬ間に回復することがほとんどです。そのため、医者にかかるよりも市販薬に頼るケースが多く、ドラッグストアー等では「鎮痛薬」のコーナーに足を運ぶことになります。

 

頭痛コーナー

 

 

各メーカーが競って、「ウチのクスリが頭痛・生理痛・歯痛に一番効きますよ!」と言わんばかりに派手な広告や箱を並べていますが、大きく5つの成分を押さえる必要があります。また、これらの成分に「咳や痰を鎮める成分」「鼻水を止める成分」を加えたものがいわゆる「市販の風邪薬」となりますので、風邪薬コーナーの理解にも繋がるという訳です。

 

押さえておきたい鎮痛剤の「4大勢力」+「少数一派」

 

 

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なぜか日本人が好むトップランナーは、「ロキソプロフェン」

ロキソニン(ロキソプロフェン)は「第1類医薬品」に分類され、薬剤師が在籍する薬局やドラッグストアーでしか購入できません。「日本のメーカーが開発したよ」「プロドラッグタイプで胃に優しいよ」という宣伝文句で日本国内では幅を利かせているのですが、どうやら海外での知名度は非常に低いようです。

 

このことは、「ロキソニンが他のクスリより劣っている。」ということでは決してありません。ライバルのイブプロフェンが先行していたことや日本の薬事情勢に絡み、未だ海外では入手困難で広く知れ渡っていない理由があるからです。

 

2014年の薬事審議会で「指定第2類へ引き下げる案」が議論されましたが、妊娠中や授乳中の女性への影響を理由に第1類に据え置くこととなり、今日に至っています。今後、指定第2類となって手に入りやすい環境になれば、海外での知名度はもっと増していくと思われます。

 

ロキソニン

 

お求め易く、世界で名の知れた市民ランナーは、「イブフロフェン」

イブフロフェンは、アスピリンの弱点(大量摂取で重篤な消化管出血)を克服するために、イギリスの薬剤師スチュワート・アダムス(ブーツ社)が開発し、1961年に特許申請しました。その8年後に医療用医薬品として供給され、1983年から市販薬として販売されるようになりました。

 

彼は、「世界を変えた鎮痛薬」を発見した男と称されましたが、会社から支払われた特許料は1円もなく、「この薬で損をしたのは私だけである」と冗談を言っていたそうです。

 

彼は、2019年1月95歳で他界しますが、イブフロフェンはNSAIDsの中でも解熱・鎮痛・消炎作用のバランスがよく、炎症にもよく効くという評価で、多くの商品が世界中で販売されています。日本ではエスエス製薬の「イブ」シリーズが有名です。

 

イブプロフェン

 

歴史と伝統あるベテランランナーは、「アスピリンと仲間たち」

アスピリン(アセチルサリチル酸)は古くから「ヤナギの成分(サリチル酸)が有効である」ことに端を発し、1897年にドイツで開発されました。100年以上の長きにわたり解熱鎮痛薬としての地位を保ってきましたが、現在では血液をサラサラにする作用から心臓疾患治療に欠かせないクスリになっています。

 

昔は、アスピリンが加水分解されて出来たサリチル酸が、胃粘膜障害の元凶であると考えられていたようで、体内でサリチル酸にはならないエテンザミドサリチルアミドが、アスピリンに代わって台頭してきました。今では、アスピリンをメインとする解熱鎮痛薬はごく少数になっています。

 

エテンザミドもサリチルアミドも化学構造的にはアスピリンとほぼ同じ仲間で、エテンザミドは、生体内で代謝されてサリチルアミドになりますので、例えると「両者は血の繋がった兄弟」と言えます。

 

また、兄弟の効き目は、親分であるアスピリンに比べるとイマイチだったので、それらの薬効を補強するために「アセトアミノフェン」と「カフェイン」という援軍が加えられました。

 

エテンザミド(E)は、アセトアミノフェン(A)とカフェイン(C)の頭文字を取り、「ACE処方」と称するいかにも効きそうな宣伝文句が与えられて出世して行きます。

 

一方、サリチルアミドは、アセトアミノフェンとカフェインを携え、「プロメタジンメチレンジサリチル酸塩(抗ヒスタミン薬)」という新たな仲間を加えて、「PL配合顆粒」という歴史の長~い風邪薬(1962年から販売)として活躍することになったのでした。

 

アスピリン

 

新型コロナで脚光を浴びた子供&妊婦ランナーは、「アセトアミノフェン」

アセトアミノフェンは、「妊婦や小児にも使える解熱鎮痛薬」としてなくてはならないクスリとなっていますが、NSAIDsが有する鎮痛・解熱・消炎作用の三本柱の内、消炎作用はほとんど有していません。

 

また、NSAIDsが有する解熱・鎮痛に係る作用機序が「アラキドン酸からプロスタグランジンへのカスケードライン阻害である」と解っている反面、アセトアミノフェンの詳細な作用機序は未だに解明されていません。

 

それなのにアセトアミノフェンは(飲酒や大量投与しない限り)「最も安全な解熱薬」として認知されており、新型コロナ(mRNA)ワクチン接種後の解熱薬として多くの国民に処方されたことから、その名前が日本中に知れ渡り、にわかに脚光を浴びるようになりました。

 

もちろん、接種後の解熱や鎮痛には、アセトアミノフェンよりも切れ味の鋭いNSAIDsを服用しても有効でしょうが、やはり、あのランセットで、仮説ながら「イブプロフェンやその他のNSAIDsが、新型コロナの重症化リスクを高める」とか「NSAIDsは腎・胃腸障害を生じさせ、インフルエンザ感染時のサイトカインストームのリスクを高める」などと様々な仮説が飛び交うと、効き目の弱っちいアセトアミノフェン単独の製品しか勧められなくなりますよね。

 

専門家によれば、実際、「mRNAワクチン接種後にNSAIDsを使用すると副反応のリスクが高まる」という明確な根拠がなく、「不明」というのが今の現状のようです。そのような「ハイレベルの不明」を一般の人に説明すること自体めんどくさいので、「まあ、安全策でいきましょう」というのが世の中流れでしょうか?

 

アセトアミノフェン

 

マニアックな個性派ランナーは、「イソプロピルアンチピリン」

ピラゾロン骨格を有するピリン系鎮痛薬は、非ピリン系鎮痛剤と組み合わせることで鎮痛作用を高めることができるため古くから使用されていました。ところが、「ピリン疹」と呼ばれるアレルギー反応を起こしやすいことが問題となり、現在はあまり使用されていません。

 

現在日本で使用されているのは「スルピリン」「イソプロピルアンチピリン」だけで、市販薬に使用されているのは、比較的副作用を起きにくいイソプロピルアンチピリンのみです。(医療用でもスルピリンはほとんど使用されていません)

 

昔は、アスピリンはその名前から「ピリン系と間違われるので、非ピリン系であることを説明しなさい。」とよく言われましたが、今やアスピリンも鎮痛薬としての出番を失っているので、質問されることは少なくなったと思います。

 

むしろ、「アスピリン喘息」が、アスピリンに限ったものでなくNSAIDs全般で発生することや、アセトアミノフェンの多量摂取でも起こり得ることの説明の方が大事かも?

 

ピリン系

 

 

 

くすりのレビュー、国家試験の勉強に役立つYouTube動画

yakulab info 下田武先生

NSAIDsとアセトアミノフェンの比較:14分16秒

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