【今さら聞けない抗アレルギー薬】花粉の季節、知ってないとヤバイよ

顔ぶれ感染免疫

花粉症の「くしゃみ・鼻水・鼻詰まり」に処方される抗アレルギー薬は、ムチャクチャ数が多く、名前を覚えるだけでもたいへんです。ましてや、それらのクスリが、免疫システムのどの場所で作用しているかを理解しなければ、うまく説明ができません。
抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン受容体拮抗薬、ステロイド点鼻薬と言われても…? ん~、スラスラ説明するのは無理~!
そこで、今回、私なりのイメージ図(軍隊仕様:世界初)を作成し、Ⅰ型アレルギー(即時型過敏症)に対する自分自身の理解を整理してみました。世界初は大げさじゃわ!

免疫システムを軍隊に例えるとこうなる‼

顔ぶれ

Ⅰ型アレルギー(即時型過敏症)の顔ぶれ

「好中球」は軍用犬

「好中球」は、白血球全体(顆粒球、単球、リンパ球を含む)の約40~60%を占める最も数の多い細胞で、細菌やウイルスを食べた後には大量の屍となって膿になります。そして、これらの死骸や膿を、マクロファージがバクバク食べて処理してくれるのです。昔は、擦り傷をすると「消毒、消毒!」と言って、赤チンやクロルヘキシジンを塗りまくっていましたが、この行為はマクロファージ等も一緒に殺してしまうため、治りも遅く、きれいに治りません。今や「水洗いで清潔にすること」が原則なので注意したいものです。
一方、「好酸球」と「好塩基球」は同じ顆粒球なのに、全体の1~2%と少なく、その働きは十分に解明されていないようです。好中・好酸・好塩基と呼ばれる理由は、中性・酸性・塩基性の色素にそれぞれ染まり易いからで、グラム陰性菌とグラム陽性菌の分類と似ていますよね。また、顆粒球と呼ばれる理由は、殺菌効果のあるタンパク質や酵素が詰まった顆粒(手投げ弾)を持っているからです。

「マクロファージ」と「樹状細胞」は国境警備隊

単球から派生する「マクロファージ」と「樹状細胞」は、皮下組織に多く存在し、常に国境(皮膚や粘膜の内側)を警備しています。細菌、ウイルス、寄生虫に限らず、花粉や自己細胞の死骸などをバクバク食べますが、彼らは何も考えずに貪食します。 (非特異的貪食)
そして、その残骸をエリート将校である「ヘルパーT細胞」や「B細胞」に危害があるものかどうかの判断を仰ぐのです。(抗原提示)

(抗原提示)

「NK(ナチュラルキラー)細胞」と「細胞障害性T細胞(キラーT細胞)」は戦闘機

ウイルスやがんに侵された細胞は、好中球やマクロファージには手に負えず、細胞(建物)ごと破壊する必要があります。その役割は、「NK細胞」と「細胞障害性T細胞」が請け負いますが、対象となる細胞(建物)がウイルスやがんに占領されているかどうかは、細胞表面にあるMHC (Major Histocompatibility Complex)クラス1分子という物質の低下で判断しています。低下と判断すれば、容赦なくブッ飛ばします。

「ヘルパーT細胞」は胸腺兵学校卒の超エリート将校

T細胞の「T」は、Thymus(胸腺)の頭文字であり、免疫システムの司令塔を担います。様々な手伝いをするのでヘルパーという称号が与えられていますが、「同期の桜」として、1型(Th1)と2型(Th2)がいます。Th1は「細菌・ウィルスの担当」、Th2は「花粉やダニ、ホコリなどのアレルゲンの担当」となります。
T細胞が出す指令は、サイトカインという生理活性物質によって伝達されます、Th1は主に「IFN-γ(インターフェロンガンマ)」を、Th2は主に「IL-4(インターロイキン4)」を用います。また、超エリート将校であるT細胞は、戦闘機の操縦も可能で、時に「キラーT細胞」となり細胞の破壊にも加わりますし、その一部は「メモリーT細胞」となって、異物を記憶する役目も担います。さすが、司令官は違うなぁ~。

「B細胞」は骨髄兵学校卒のB-21爆撃機のパイロット

B細胞の「B」は、Bone marrow(骨髄)の頭文字であり、免疫システムの中で、最も破壊力の強い部隊(液性免疫の要)を指揮します。ヘルパーT細胞からのサイトカインによって、B細胞が形質細胞へ分化し、大量の抗体を産生します。また、刺激されたB細胞の一部は、抗原の情報を記憶するメモリーB細胞となり、再度の感染の際では、初対面時の反応(自然免疫)より、親和性の高い抗体を、迅速かつ大量に産生(獲得免疫)できるようになります。
だから、2回目に暴露した時が、反応が早く、強力なんですね~。

第一幕 感作(国境警備隊から得体のしれない抗原が提示され、化学爆弾がセットされるまで)

感作

IgE抗体はミサイル機能だけじゃない。

IgE抗体が、肥満細胞のIgE受容体に突き刺さることで、肥満細胞の中にある顆粒(ケミカルメディエーターが詰まった爆弾)がいつでも爆発できるようにセットされます。(感作状態)
                           ※好塩基球に突き刺さるシーンは省略します。
また、細菌やウイルス等に対して、下記のような作用を示します。

1)ウイルスや毒素に結合し、感染力や毒性を失わせる。(中和作用)
2)抗原に味付けをし(オプソニン化)、貪食細胞の食欲を増進させる。
3)補体経路を次々と活性化させ、補体が抗原に取付いてダメージを負わす。

肥満細胞は化学爆弾を巧みに操る海兵隊

肥満細胞は、辛いアレルギー症状の原因になることから、悪役のイメージが強いのですが、そうではありません!正常に機能していれば、炎症など免疫反応を惹起して素早く抗原を排除し、病気や有害物質から体を守ってくれるのです。れっきとした骨髄系幹細胞であり、体を守る免疫部隊の一員なのです。
また、肥満細胞と言っても「肥満」とは全く関係なく、発見当時、たくさんの顆粒を抱え込んでいて肥満体を思わせる姿をしていたことから、肥満と名付けられたと言われています。(諸説あり)
肥満細胞って、何てかわいそうなのでしょう。別の呼び名にしてあげたいのですが…。

第二幕 誘発(セットされた化学爆弾に抗原が再来し、起爆。化学物質がばらまかれるまで)

誘発

化学爆弾(ケミカルメディエーター顆粒の離脱)のしくみ

肥満細胞の細胞表面には、IgE抗体に対する親和性の高い受容体(FcεRI)が発現しており、抗原が二つの抗体をまたいだ瞬間!(架橋形成)、細胞内の顆粒が爆発(離脱)して外へ放出されます。放出されたケミカルディエーターが、血管透過性の亢進血流の増加炎症細胞の遊走といった炎症反応を惹起し、抗原の速やかな排除を行います。(正常反応)
しかしながら、皮膚・気道・鼻腔・目の粘膜など、紅斑、掻痒感、気道平滑筋の収縮、鼻汁、くしゃみ、結膜の充血といった局所のアレルギー症状、更には全身の血管拡張によるアナフィラキシーショックを呈すると、Ⅰ型アレルギー症(即時型過敏症)ということになります。
アナフィラキシーショック時はアドレナリン注射で血管収縮気管支拡張、心機能亢進を図らなければなりません。

抗アレルギー薬の顔ぶれ

ケミカルメディエーターには、ヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサン、ブラジキニンなどが含まれているため、アレルギーを抑える薬(いわゆる抗アレルギー薬)は、その働きの違いによって、以下のように分類されています。

①抗ヒスタミン薬(第一世代、第二世代)
②ケミカルメディエター遊離抑制薬
③抗ロイコトリエン薬
④抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬
⑤Th2サイトカイン阻害薬

この中でも、①抗ヒスタミン薬が最も重要で、花粉症の症状(くしゃみ、鼻水、痒みなど)を抑えるのに効果的です。また、鼻づまりにはロイコトリエンが関与しているため、鼻づまりがひどい時には、③抗ロイコトリエン薬を併用します。
一方、②ケミカルメディエター遊離抑制薬は、肥満細胞の膜を安定化して、化学伝達物質全体を出しにくくしますが、他の抗アレルギー薬に比べたら、効果はマイルドです。

表

これから覚える抗アレルギー薬の表はこれ

 

抗ヒスタミン薬他

何となく抗アレルギー薬の全体像が分かってきました。私なりの「まとめ」は下記のとおりです。

・効果が出にくい時は、三環系骨格、ピペリジン骨格、ピペラジン骨格の薬に変えては様子を見ている。
メーカーもマイナーチェンジで次々に新しい薬を出しているように思える。
・鼻づまりには、ロイコトリエン受容体拮抗薬を併用するが、1~2週間たたなければ効果が出にくい。
第二世代以降の薬は、抗ヒスタミン作用以外に、肥満細胞の膜安定化(ケミカルメディエター遊離抑制作用)
も併せ持つことから、「抗ヒスタミン薬」改め、「抗アレルギー薬」と呼んでいる人が多い。
第一世代の薬は、ヒスタミン受容体との親和性が高く、眠くはなるものの、確実な効き目が期待できる。
(効いている感は、第二世代よりも第一世代の方があるとの声あり。眠気を避ければ、効きが悪くなる?)
IgEが、化学爆弾にセットされる前に抗アレルギー薬を飲まなければ効き目は弱いはず。爆発後(顆粒離脱後)
は、もはや局所的ステロイド薬に頼った方が効いている感がある。鼻炎で実感。
・誰がどう考えても、「抗原の橋架形成→刺激→顆粒離脱」のところを妨害するのが効果的である。
新薬のゾレアは、このポイントを押さえているが、薬価や注射製剤がネックとなり広く普及はできないでしょうね。研究者の先生方、頑張ってください。

今後、上記の表について絵とゴロを用いた楽しい覚え方を提案して行きます。

くすりのレビュー、国家試験の勉強に役立つYouTube動画

yakulab info 下田武先生

アレルギーに作用する薬①:10分52秒

アレルギーに作用する薬②:11分28秒

アレルギーに作用する薬③:8分16秒

抗ヒスタミン薬のまとめ:11分50秒

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