【一気に覚える糖尿病薬Part①】これで苦手意識から解放される?

ビグアナイド/チアゾリジン 内分泌代謝

糖尿病薬は、2~3種類の薬を併用することが多く、何の薬を飲んでいるのか?何のために飲んでいる薬なのか?を伝えなければならない場面に遭遇します。

しかしながら、説明する側が多種多様の作用機序と多くの薬品名を覚えていないと、説明がシドロモドロとなり、自信を失ってしまいますよね。

前回投稿した「糖尿病薬の歴史と作用機序」「ステムの覚え方を思い出していただき、一気に楽しく薬品名を覚えましょう。クスリの名前が、どえりゃ~多いので全7回シリーズで投稿します。いざ!

 

今回、覚える「糖尿病薬の一覧表」はこれだ!

①覚える表

 

ビグアナイド薬

糖新生抑制、筋肉等の糖の取組みにより、インスリンの効き目を良くするビグアナイド薬

 

ビグアナイド

 

ビグアナイド薬は、スルホニルウレア(SU)薬に比べ、血糖値を下げる力は弱くなりますが、非常に安価でしっかりした量を使えば、血糖コントロールも良くなります。また、直接、膵臓に作用しませんので、膵臓への負荷は小さくなります。昔からある薬ですが、「膵臓を休ませる」という点では、最近の治療方針に合致したクスリです。

 

また、血糖値を下げ、脂肪を減らすことがアンチエイジングの基本であることから「若返りの薬」としても注目されているそうです。

 

一方、ビグアナイド薬を語るときに避けて通れないのが「乳酸アシドーシス」の問題です。
これは何かというと、イラストの糖新生抑制のところで、「乳酸から糖を生成するのを阻害する」という効果が行き過ぎて、体内の乳酸濃度が高まってしまった状態を指します。

 

その結果、血液が酸性に傾き、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、倦怠感、けいれんなど、進行すると過呼吸、脱水、低血圧、昏睡状態などの重篤な症状を引き起こすのです。

 

チアゾリジン系薬

肥大化した脂肪細胞を小型化して、インスリンの効き目をよくするチアゾリジン系薬

 

チアゾリジン系薬

 

肥大化した脂肪細胞を小型化することで、肥大化した脂肪細胞が出していた悪玉ホルモン(TNFaやMCP-1など)を減らします。そして、小型化された脂肪細胞が出す善玉ホルモン(アディポネクチン)の作用が高まり、肝臓や筋肉の糖代謝を改善してくれます。

 

また、脂肪肝を改善してくれる効果もあります。ただし、浮腫による体重増加が起こりやすいため、心不全がある方へは慎重に使う必要があります。

 

「糖尿病薬の歴史の表」には、ステムを記載しましたが、チアゾリジン系薬のステムが抜けています。なぜかというと、現在、このカテゴリーに属する薬はただひとつだからです。その名は、武田薬品工業の「アクトス」という薬で、過去には他社のノスカール、アバンディアといった名前の薬もあったようですが、重篤な副作用による死亡例を何件か引き起こしたため市場から撤退してしまいました。(タケダが生き残った)

 

一方、アクトスは、2009年のピーク時には全世界で年間3,962億円の売り上げを誇り、2011年にパテントが切れるまでタケダを支え続けた非常に有名な薬ですよね。

 

作用機序を見ても分かる通り、特に脂肪が原因の糖尿病によく用いられ、高脂血症や肥満の方に対しては非常に強い効果を発揮することから、国外でも高い評価を得ていました。パテントが切れた後には、「ピオグリタゾン」という一般名で後発品が発売されています。

 

絵とゴロで楽しく覚える糖尿病薬①

ビグアナイド/チアゾリジン

メトグルコ/グリコラン(メトホルミン):
メトグリコじゃありません。メトグルコですから!紛らわしくてすいません。

 

ジベトス (ブホルミン):
苦しかとです。暗くてジメジメした部室のイメージ、共有していただけたでしょうか?部室の床をめくって、掘るなんてあり得ませんけどね。

 

アクトス (ピオグリタゾン):
これまた苦しかとです。ピオグリタゾンが「ピノキオが愚れたぞっ!」ですって? まあ~、勢いで行っちゃってください。

 

くすりのレビュー、国家試験の勉強に役立つYouTube動画

yakulab info 下田武先生

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