前回は、「くしゃみ・鼻水・鼻詰まり」の原因となるⅠ型アレルギー(即時型過敏症)に関する投稿をしました。抗アレルギー薬の分類として
①ヒスタミンH1受容体遮断薬(第一世代、第二世代)
②ケミカルメディエター遊離抑制薬
③ロイコトリエン受容体拮抗薬
④抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬
⑤Th2サイトカイン阻害薬
があることを紹介しました。
特に①ヒスタミンH1受容体遮断薬(抗ヒスタミン薬)については、多くの市販薬が登場していることから、質問される場合も多く、「クスリの名前」と「アバウトなクスリの性格」を知っておかないと超~不安ですよね。
そこで、今回の投稿は抗アレルギー薬のうち、代表的な15のクスリの名前を3回に分けて投稿します。前回内容もレビューして、楽しく覚えてくださいね。
今回覚える「クスリの名前」はこれだ!
※前回投稿した表から抗ヒスタミン薬の第一世代及び第二世代(一類)を省いています。三環系、ピぺリジン骨格、ピぺラジン骨格の構造ついては前回の表を参考にしてください。ピぺリジン骨格とピぺラジン骨格の薬理作用については、ほぼ同一であるとの見解です。
第二世代の抗ヒスタミン薬は、蕁麻疹やかゆみなどの皮膚疾患にはよく効くものの、アレルギー性鼻炎には期待するほどの効果がなく、点鼻ステロイド薬や目薬を併用することが得策であると言われています。前回投稿のとおり、早い段階から免疫システムに組み込まなければ効果が薄いということですよね。
今回覚える「アバウトなクスリの性格」はこれだ!
①「効き目」と「眠気」のランキング
「効き目」と「眠気」には、個人差があり過ぎて、上記のランキングを鵜呑みにすることはできませんが、一応、「Tmax値」による効き目、「ヒスタミンH1受容体占拠率」からの眠気、ということで順位付けをしています。
例えば、クラリチンは、ヒスタミンH1受容体占拠率が比較的高い割には、運転に関する注意書きがありませんし、「運転操作の注意」よりも「運転に従事させない注意」の方が眠気が強いはずなのに、占拠率の順番とはピッタリと一致しません。
「効き目」と「眠気」を相対的に位置づけた表は、上記以外にも数多く出回っていますが、「個人的な感想・考え方」である旨を明記しています。あくまでも「アバウトなクスリの性格」としてご理解くださいね。
②市販薬となっている抗ヒスタミン薬の顔ぶれ
興味深いのは薬代です。安い順に処方箋薬(受診料を含む)<処方箋無し(零売薬局で買う)<市販薬となっているのでしょうか?医療費高騰を抑制するには、花粉症薬を保険薬から外したら?との意見もチラホラ。耳鼻科の先生方は激怒するだろうなぁ~。
アレジオン、アレロックの楽しい覚え方
アレジオン(エピナスチン):
エスエス製薬の「アレジオン20」の箱、よく店頭で見かけますよね。1日1回と書いてあり、鼻がスースー通るイメージなのか、風のような模様がついています。
アレンジした「温野菜」って、どんな味を狙っているのでしょうか? 意外ですが、茄子と海老のレシピって見たことないなぁ~。
アレロック(オロパタジン):
市販薬は有りそうでありません。1日2回の服用は、アレロック、タリオン、アレグラですが、効き目はアレロックが勝っているようです。
添付文書の注意書きでは、アレロックが「運転に従事させない注意」、タリオンが「運転操作の注意」、アレグラが「注意無し」となっており、効き目も眠気の順番と同じになっています。
ロックを飲んで泥酔しているオッサンの絵は、眠気をイメージしていますので、それも覚えておきましょうね。
クラリチン、デザレックス、ルパフィンの楽しい覚え方
クラリチン(ロラタジン):
市販薬(大正製薬)1日1回のクラリチンEX。緑の丘と青空を描いた箱は、爽やか感を演出しているのかなぁ~?処方薬では、蕁麻疹やかゆみ等の皮膚疾患に適用がありますが、一般薬のクラリチンEXにはこれらの効能書きはありません。皮膚科や小児科の処方と一般薬が重複しないように注意が必要ですよね。
絵ではクラリとなっていますが、このクスリ、ヒスタミンH1占有率が比較的高い割には、運転に関する注意書きがありません。最近、テレビでローラを見かけませんが、実物を見たら、きっとクラリとするのでしょうね。
デザレックス(デスロラタジン):
発売当初、製造販売元(MSD)の薬事手続きの不備で自主回収を余儀なくされたデザレックス。激戦の抗アレルギー薬市場で出鼻をくじかれた感がありましたが、どれ位の損害があったのでしょうか?
デザイナーの「レックス中野」だと?現実にいそうな名前ですね?絵とゴロのイメージが浮かばず、ん~、すいましぇ~んでした。苦しい!
ルパフィン(ルパタジン):
ルパフィンは、ヒスタミンH1受容体拮抗作用以外にも、血小板活性化因子(PAF)の受容体拮抗作用を持っています。
PAFは、血管拡張の亢進、知覚神経刺激、白血球の活性化などを誘導するケミカルメディエーターであるため、これをブロックすれば、くしゃみや鼻水をダブルで阻止できると言われています。活性代謝物がデスロラタジン(デザレックス)ということですから、ルパフィンとデザレックスの効き目の差って(けっこうあるが)、PAF阻害によるものなのでしょうか?
九州、東北地方の皆さんは「タージン」という芸人(自称:関西ナンバーワンのレポーター)を知らないでしょうね?
くすりのレビュー、国家試験の勉強に役立つYouTube動画
yakulab info 下田武先生
ビラノア錠(ビラスチン):23分16秒
ザイザル錠/OD錠/シロップ(レボセチリジン):12分36秒
抗ヒスタミン薬のまとめ:11分50秒
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