発毛剤の実力ってドンだけ~?「女人禁制の発毛剤」に背負い投げ~!

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某ドラックストアーの店長が言うには「足(水虫薬)」と「髪(発毛剤)」に悩む人(こっそりと治したいコッソリさん)は大勢いて、新しいクスリが出るとすぐに飛びついてくるそうです。

 

前回は、水虫薬(抗真菌薬)について投稿しましたが、今回は「ハゲ薬」否、「薄毛治療薬(発毛剤)」について「塗り薬(市販薬)」「飲み薬(処方薬)」の2回に分けて投稿します。

 

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チマタには怪しい発毛剤が数多く出回っていますが、発毛効果の高さでクスリを選ぶなら、それほど迷うことはありません。ズバリ、「塗り薬」ならミノキシジル(リアップ他多数あり)で、「飲み薬」なら医師の処方薬であるデュタステリド(ザガーロ)フィナステリド(プロペシア)を選択することになります。

 

ただし、作用機序などから、「塗り薬」として使うミノキシジルは男性も女性も使用できますが、飲み薬であるザガーロとプロペシアは「女人禁制」で女性は飲めません。(詳しくは次回の投稿で説明します。)

 

ミノキシジルって、どんなクスリ?

ご承知のとおり、ミノキシジルはもともと血管を拡張して血圧を下げる薬として開発されましたが、治療中の患者に「多毛」の副作用が現れたことから発毛剤として研究され、約30年前に塗り薬(外用薬)として発売されました。

 

作用機序は、血管を拡張することで血流が増加し、毛母細胞を活性化するといわれていますが、他の血管拡張薬の中にミノキシジルのような多毛化を促すクスリは見当たりません。ということは、血管の拡張だけでは発毛効果を説明することができないのです。

 

ミノキシジルには、特有の「毛組織の成長因子促進効果」「毛母細胞のアポトーシス(細胞死)抑制効果」があるとされていますが、詳しいことは解っていないようです。

ミノキシジル作用機序

 

市販薬は効果発現の時間差から、濃度1%(目安6か月から)と濃度5%(目安4か月から)の商品がありますが、セッカチで我慢できない殿方には、濃度5%の商品を勧めた方がよいでしょう。

 

なぜ殿方かというと、「リアップリジェンヌ」などの女性用製品には今のところ濃度5%の商品が無く、濃度1%に留まっています。ちなみに米国では2014年2月に5%商品が承認されています。

 

日本で承認されない理由は、国内の臨床データが少なすぎて製造承認が得られないとのことですが、何といっても男性の需要に比べ女性のマーケットは小さく、メーカーからすれば「副作用から誕生した作用機序の分からないクスリの濃度」を5%に高めたからといって、それほどの効果は得られないというのが真の理由かも知れません。

 

リアップの一強を崩したのはシャンプー会社だった?

ミノキシジルが日本で初めて販売されたのは1999年で、大正製薬が国内初の製造承認を取得していました。「リアップは日本で唯一の発毛剤です」というキャッチコピーで、日本の発毛剤市場を席捲してきました。

 

ところが、2018年のリアップの特許切れを契機に他社が参入し、今となっては30種類以上のミノキシジル配合薬が市販されています。その中でも、先陣を切って王者大正製薬に挑んだのは、シャンプーなどを扱っている化粧品メーカーのアンファー社で、「スカルプDメディカル ミノキ5」を発売しました。CMには元SMAPの香取、草薙コンビを起用し、若者層をターゲットにリアップの牙城を一気に崩し始めたのでした。

 

リアップ対スカルプ

 

もちろん他のメーカーも黙っているはずもなく、ロート製薬の「リグロ」佐藤製薬の「アロゲイン」興和の「リザレック」が有名ですが、業界的には価格の面で二つのグループに分かれているようです。

 

「リアップ、スカルプD」が7,000円を超える高級志向。「リグロ、リザレック、アロゲイン」が5,000円前後のリーズナブル路線といったところでしょうか?

 

価格の差は、頭皮環境を整えるビタミンや高級オイルの追加によるものですが、消費者にとって見逃せないのは、容器や先端ノズルにどれだけお金をかけているかです。

 

低価格路線の一部商品は、ノズルの先が尖がっていて痛かったり、計量時に若干の液漏れがあるようです。反面、高級路線の容器は「使いやすさ」「心地よさ」「液だれの無さ」にしのぎを削っているようで、薬効成分以外のところでも熾烈な競争が繰り広げられています。

 

ところで発毛剤と育毛剤との違いは

混同されがちな「発毛剤」「育毛剤」ですが、期待される効果、配合される成分、どのような状態の人が使うかによって以下のように分類されます。

発毛剤対育毛剤①

育毛剤対発毛剤②

 

何で外用薬である発毛剤が第1類医薬品なのよ?

「夜遅くにドラッグストアーに行き、リアップ(第1類医薬品)を求めたら薬剤師が不在で売ってくれなかった。」という話はよく聞きます。

 

そもそも第1類医薬品は、効果が高い分副作用の頻度や危険性も高いため、薬剤師が介して販売します。
ミノキシジルは、降圧薬として開発された経緯があるため血圧にも作用します。また、皮膚の炎症を誘発しやすく、頭皮の発赤や痒み、かぶれなどの副作用が比較的高い頻度で起こるとされています。

 

第1類医薬品の棚に並べるのは過剰防衛では?との声もあり、こっそりと治したいコッソリさんにとってはハードルが高くなっています。今後、多くの臨床データーが蓄積され、ミノキシジルの作用機序が十分解明されれば、第2類医薬品の棚に並ぶかも知れませんね。

 

 

 

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