今回から水虫薬を含む抗真菌薬についての投稿となります。
専門医が一番嫌っている市販薬は「水虫のクスリ」だそうですが、嫌われる理由には何があるのでしょうか?
市販薬が医者の判断を邪魔する?
足に出ている症状が水虫かどうかの判断は、見た目以上に難しいようで確定診断には顕微鏡下で白癬菌がいるかどうかを見極めなければなりません。
ところが、受診する前に市販薬を使ってしまうと白癬菌が減ってしまい正確な診断ができないということになります。「患者にとっても医師にとっても無駄な時間と労力を費やし、医療費の無駄使いに繋がるぞ!」とお医者様は激怒しているのです。
市販薬の成分の多さが災いを産む?
医者の処方薬は、ライフル銃のような単剤(一つの薬に一成分)なのに、市販薬は一つの抗真菌薬にオマケ⁉となる成分をいくつも詰め込んでいて、さながら散弾銃の様相を呈しています。
例えば、角質層の浸透を高めたり、皮膚のカサカサを改善するには「尿素」を配合します。また、かゆみを止めるためには、「クロルフェニラミンマレイン酸塩」「ジフェンヒドラミン塩酸塩」「ジブカイン塩酸塩」「クロタミトン(灼熱感のある不思議なクスリ)」などを加え、ご丁寧に「l-メントール」を加えてスーッとした清涼感を出す商品もあります。
その他、抗菌成分としては「イソプロピルメチルフェノール」を、抗炎症成分としては「グリチルレチン酸」などを配合したものが数多く出回っています。
ところが、マズイことにこれら成分の中には皮膚を過剰に刺激して「接触皮膚炎」などを引き起こす場合があり、「水虫を治すどころかかえって症状を悪化させてしまうぞ!」とお医者様は怒っているのです。
コッソリさんがいる限り市販薬は永遠に不滅です。
だけど、いくらお医者様が激怒しようが、人間誰にだって「医者には行かず、誰にも知られずに、コッソリと病気を治したい」というニーズがあると思うのです。
水虫やいんきんたむし(股部白癬)はその代表格で、特にインキンなんて死んでも医者にみせたくない‼という人が多いのではないでしょうか?
水虫の場合、一度は病院に行ったけど再発して、「また病院に行くのが面倒くさい」「コロナで混雑した待合室に行きたくない」「お金がいくらかかるか分からないので心配」等々の理由で、市販薬でコッソリと病気を治したい「コッソリさん」が後を絶たないのです。
写真は、ハイミズムシールEXクリームの広告ですが、まさに「コッソリさん向けの宣伝」になっています。ド派手なカゼ薬や花粉症薬のパッケージと違って、たいへん控え目な色調になっており、パッと見、水虫やインキンのクスリとは気が付きません。
コッソリさんにお伝えすべき市販薬の選び方は?
市販の水虫薬は成分や剤形によって適応症状が異なるため、「症状」と「患部の状態」にあったクスリをチョイスしなければなりません。そのためにも、基本的な成分や剤形を理解し、自信をもってコッソリさんにお伝えしましょう。
コッソリさんどころじゃない!ソッコク(即刻)さんに注意⁉
もし、糖尿病を患っている患者さんに出くわしたら、患部の状態を細心の注意で聞き取らなければなりません。
もし、糖尿病による潰瘍なんぞができていたら、水虫どころの騒ぎではなく、足を切るかどうかの重大局面となります。即刻、医療機関へ行くように伝えなれればなりません。
次回は、抗真菌薬の作用機序や絵とゴロでの楽しく覚えるクスリの名前について投稿します。
くすりのレビュー、国家試験の勉強に役立つYouTube動画
yakulab info 下田武先生
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