アトピー性皮膚炎に立ち向かう三銃士。三銃士って4人の物語だったよね

03アトピー3薬 皮膚科

ステロイド外用薬の楽しい覚え方を第一回第二回第三回第四回で投稿してきました。今回はステロイド外用薬である「プロトピック」「コレクチム」と、モノクローナル抗体である「デュピクセント」について投稿します。

 

アトピー性皮膚炎に対してどのように戦えばいいの?

アトピー性皮膚炎は、①「皮膚バリアーの機能異常」②「アレルギー性の炎症」③「強い痒み」を交互に繰り返し、他の免疫疾患同様、なかなか完治できない疾患です。

 

そのため、治療の最終目標は「寛解維持」であり、軽微な症状で急激な悪化を招かない状態にすること。薬物療法もそれほど必要がなく、日常生活に支障がない状態にすることです。

 

治療方針は、ステロイド外用剤で②「炎症」③「痒み」を抑え込み、保湿剤で①「皮膚バリアー」を保持することが基本となりますが、ステロイド外用剤には、皮膚委縮(皮膚が薄くなる)や血管拡張(赤くなる)という副作用があるため長期での連用ができません。

 

そこで登場したのが、ステロイド外用薬である「プロトピック」「コレクチム」で、ステロイド外用剤を長期に連用せずとも、治療の最終目標(寛解)を達成しやすくなりました。

 

01三銃士

「三銃士」は、既に銃士として活躍していたアトス、アラミス、ポルトスの三人に加え、「銃士になりた~い!」と現れる主人公ダルタニャンとの物語です。四人が力を合わせて戦う姿は、どことなくアトピー性皮膚炎と戦う薬剤君たちに似ていると思うのですが?

 

三銃士(3薬)の特徴は ?

 プロトピックの主な特徴と注意点

有効成分の分子量が大きいので、皮膚状態の悪いところからは吸収されますが、正常な皮膚からはほとんど吸収されないと考えられています。

 

プロトピック軟膏0.1%は16歳以上、0.03%は小児用(2歳~15歳まで)で使用することになっているため、年齢確認が必要です。

 

ステロイド外用薬のような皮膚萎縮や毛細血管拡張といった副作用はありませんが、塗った直後、一時的に皮膚の刺激感(ほてり、ヒリヒリ、かゆみ)が出ることがあります。刺激感は、個人差がありますが、皮膚の症状が良くなるにつれ、通常1週間くらいでおさまります。刺激感が苦手な患者には刺激の少ないコレクチムを選択します。

プロトピックの炎症を抑える強さは、ステロイド外用薬のストロングからミディアムクラスと同程度とされており、かゆみに対する効果も期待できます。

 

コレクチムの主な特徴と注意点

コレクチムは、非ステロイド性のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬です。アトピー性皮膚炎の外用薬としては、1999年に発売されたプロトピック以来の新薬となります。

サイトカインが誘発するフィラグリン等(角質層のバリアー維持に関連する蛋白質)の発現を低下させ、掻痒行動を抑制します。

コレクチムは、使用時の刺激感も起こりにくく、副作用が少ないとされており、長期間での安全性も確認されていることからアトピー性皮膚炎の治療の新たな選択肢として期待されています。

 

デュピクセントの主な特徴と注意点

アトピー性皮膚炎の炎症や痒みの原因(インターロイキン4、インタロイキン13のシグナル伝達)をターゲットとする注射薬(IgG4モノクロナール抗体)です。

アトピー性皮膚炎以外にも、気管支喘息、鼻茸(ポリープ)を伴う副鼻腔炎にも適応となります。

既存治療で十分な効果が得られなかった中等症以上のアトピー性皮膚炎の患者さんに対しての適応となりますが、生物学的製剤のため、薬剤費が高く、患者さんの負担が大きくなります。

 

今回覚える表はこれだ!

02一覧表

 

 

「アトピー性皮膚炎3薬」の楽しい覚え方

03アトピー3薬

 

いつからか分かりませんが、登山で、「登頂」「頂上を踏む」ことを「ピクる」と言っていますね。昔の「江川る」、今の「ググる」「タグる」のたぐいだと思いますが、もう、おじさん達はついて行けまっしぇん!

他の方は存じ上げませんが、私は登山時にベンゾジアゼピン系睡眠薬を持参します。デリケートで遠慮深い人間にとって、山小屋やテントで寝るってたいへんな事ですからね。

くすりのレビュー、国家試験の勉強に役立つYouTube動画

yakulab info 下田武先生
タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏):9分55秒

コレクチム軟膏:8分30秒

デュピクセント(デュピルマブ):9分36秒

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