ザガーロとプロペシアって、どっちが効くの?両方服用でどうなるの⁉

覚えるクスリ 皮膚科

前回は市販の発毛剤(塗り薬)について投稿しましたが、今回はAGA(男性型脱毛症)治療に用いる内服薬について投稿します。

 

医療現場では、男性の薄毛を「Androgenetic (アンドロジェネティック:男性ホルモン由来の) Alopecia(アロピーシア:脱毛症)」の略称で、AGAと呼んでいます。

 

一方、女性の薄毛は、これまでAGAと同じ原因で発症するものと考え、単純にFemale(女性)の頭文字を加えてFAGAと称し、男性と女性の区別をしています。(最近では、発生原因の違いを強調してFPHL(Female Pattern(パターン) Hair Loss)と表現する場合もあるようです。)

 

男性と女性の薄毛にはどんな違いがあるの?

男性の薄毛は、頭頂部が薄くなったり、生え際が後退しますが、女性ではそのような薄毛になる方はあまり見られません。女性の場合は、男性のように部分的に薄くなるのではなく、毛髪全体が均一に薄くなります。これを女性型脱毛症(びまん性脱毛症)といいます。

男女パターン

 

守るも攻めるもクロ髪の♪…な~んって軍歌あったっけ?

AGA治療薬は大きく分けると「攻め系」「守り系」の2タイプに分類されます。

攻守治療薬

結論から言いますと「男性ホルモン(テストステロン)が多いと薄毛になる」という説は医学的な根拠はなく、大きな間違いです。残念ながら、「遺伝によって薄毛になることが多い。」というのが納得できる説明になります。

 

薄毛の原因となるのは、男性ホルモン(テストステロン)から派生した別の悪玉男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」ということになります。

作用機序

 

毛包の毛乳頭細胞には、男性ホルモン受容体があります。血液に乗って運ばれた「テストステロン」は、「5αリダクターゼ」によって、DHT(ジヒドロテストステロン)になり、この受容体に結合します。そうするとヘアサイクルが短くなり、細い毛で脱落するようになり、薄毛の原因となります。これが、AGAの薄毛の根本原因となっています。

ヘアーサイクル

 

プロペシアとザガーロ、どっちがよく効くの?

「5αリダクターゼ」にはⅠ型とⅡ型があって、Ⅰ型の5αリダクターゼは、髭や腋毛など、髪以外の体毛に広く分布しています。また、Ⅱ型の5αリダクターゼは前頭部、頭頂部というAGAにかかわる毛乳頭細胞に多く分布しています。

 

ザガーロはⅠ型とⅡ型の両方を阻害し、プロペシアはⅡ型のみを阻害します。ということは、ザガーロは体全体の毛に効いて「毛むくじゃら」に、プロペシアは「髪だけがのびる」ピンポイントの理想薬になるのでしょうか?

 

ある検査結果では、血中のDHT(ジヒドロテストステロン)値が、プロペシアでは73%、ザガーロでは92%の減少を認め、ザガーロの方がプロペシアより全般的にやや優れた効果を示しましたが、反面、性機能の低下(リビドー減退)といった副作用の頻度がプロペシアよりも高く出ています。

 

また、プロペシアの血清半減期は6〜8時間と短い一方で、ザガーロの血清半減期は3〜5週間と長いことが知られています。ザガーロは、体内に入るとなかなか体から抜けないので注意が必要です。

 

ザガーロとプロペシアのミックス療法が一番効くの?

長年にわたりプロペシアで治療してきた患者では、治療の効果が衰退することが知られており、ザガーロとのミックス療法が注目されています。

 

継続的なプロペシア治療に、断続的な低用量のザガーロを追加することで、副作用を回避しながら発毛を増加させる療法がベストチョイスとなっているようです。

 

 

「5αリダクターゼ阻害薬」を楽しく覚えましょう!

ステム

 

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くすりのレビュー、国家試験の勉強に役立つYouTube動画

yakulab info 下田武先生
男性型脱毛症治療薬:7分42秒

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