降圧薬については何回か投稿してきましたが、ようやく最終章に入りました。
β遮断薬・α,β遮断薬・α遮断薬については、まずは交感神経の働きについて再確認する必要があるので、簡単な表を添付しました。
臓器の働きについては、自律神経以外にも体性神経やホルモン環境の支配を受けるため、交感神経の理解だけでは不十分だと思いますが、とりあえず昔習った記憶を呼び起こしながらこの章を乗り切りましょう。
外敵から逃げる時の身体モードが交感神経支配
交感神経の作用は、「外敵から逃走する際の身体モード」に一致すると言われています。
鳥類や爬虫類は、卵を置いて(結果、卵は食べられてしまう)外敵から逃げますが、哺乳類は、進化の過程で胎児を子宮に入れたまま逃走できるようになりました。
逃走時には、子宮を弛緩して(広げて)胎児が飛び出さないようにしているのでしょうね。膀胱の弛緩も蓄尿力をアップ(括約筋を弛緩)させ、逃走時に尿意を起こさせない工夫なのでしょうね。
現代医療では、切迫早産を抑えるため、ウテメリン(β2刺激薬)を投与して、胎児が子宮に留まるようにしていますよね。
哺乳類で唯一、卵を産むのはカモノハシです。もし人間が進化に逆行して、卵を産む(人工の卵を外界に用意し、受精した細胞を人工卵の中で育てる)ことができるようになったら、社会のシステムや育児の環境も大きく変わるのでしょうか。外敵がいない現代社会では、案外、卵生の方が便利か
も?
今回覚える降圧薬(β、α,β、α遮断薬)の表はこれ。
合併症のない高血圧患者には、Ca拮抗薬・ACE阻害薬・ARB・利尿薬のいづれかを第一選択薬として投与すればよいのですが、心臓に合併症がある患者に対しては、心臓の働きを保護しながら血圧を下げる必要があります。
交感神経の心臓への作用は強心作用ですが、長期的には心臓への負担を増やし、心臓が疲れ果てて、心不全を誘発する恐れがあります。
β遮断薬(βブロッカー)は、心臓を適度に休めることで心機能を保護する作用があり、具体的には、心筋の収縮力を落とす作用と心拍数を減らす2つの作用で、心筋梗塞などの再発を防ぎます。
心合併症を伴う場合の降圧薬の投与は、心臓を休め、心筋の酸素需要を減らすことが求められるため、α1、α2、β1の作用をブロックしつつ、β2、β3、Dへの作用はブロックしないことが理想となります。
特にβ2をブロック(気管支、冠動脈、腎血管、末梢血管を収縮)したくない時は、β1の選択性が高い薬剤が選択されます。
どひぁ~、覚えるクスリ多すぎ! まあ、ボチボチ投稿してまいります。
くすりのレビュー、国家試験の勉強に役立つYouTube動画
yakulab info 下田武先生
自律神経系:10分53秒
自律拮抗二重支配①:12分07秒
自律拮抗ニ重支配②:11分14秒
アドレナリンβ1遮断薬、α1,β遮断薬:11分31秒
非選択的アドレナリンβ1遮断薬:10分55秒
アドレナリンα1遮断薬:13分47秒
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