前回の「キョワ~イ話」(中州の思い出)に続き、シリーズ第二弾の投稿となります。
医療機関が標榜できる診療科目は医療法で定められていますが、近年、医療技術の専門性が高くなり、従来からある内科・外科・小児科などに、部位・器官(心臓血管、脳神経等)や医学的処置(内視鏡、ペインクリニック等)をミックスして細かい診療科目を表記することが認められています。
患者にとって、かかるべき医療機関を迷わず選択できることは良いことかもしれませんが、症状から自分の病名を勝手に決め込んでしまい、結局「医者のハシゴ」に繋がったり、専門医ゆえに専門外の相談を受けてくれない医者に出くわすことが心配されます。
「やたらと看板の大きい病院ほどヤブ医者が多い‼」というのは昔からのアルアル話のようで、亡くなった爺ちゃんがよく言っていたのを覚えています。
この度、ご近所に「○○内視鏡クリニック」という内視鏡のプロをデカデカと名乗るクリニックができたので、早速、大腸カメラを受けてきました。何せ、医院長殿は「3万件以上の検査や治療に携わってきた…」とホームページに書いてあったので、「命預けます」状態で安心して門をたたいたのですが、その結果はいかに⁉
検査前の外来受診
最新鋭?のレントゲン装置が映し出したものは?
完全予約制なので、患者はポツンと私ひとりでした。受付には、開業祝いの胡蝶蘭が咲き乱れ、全部でいくらになるのだろう?と鉢の数を数えていました。
程なく名前を呼ばれて診察室に入りましたが、「大腸カメラの挿入に支障がないか(癒着等)を調べるため、お腹の写真を撮らせてください。」と真新しいレントゲン室に案内されました。装置は最新鋭?のモノらしく、X線フィルムの板を背中に当てて前方からX線を浴びるタイプのものでした。
ところが、どこでどう間違ったのか分かりませんが、逆さまに映った胸部のレントゲン写真になってしまったそうで、再びレントゲン室へ行くことになりました。(「何てことないさ2回程度の被爆なんて」と自分に言い聞かせました。)
検査前に服用しなさいと言われた「白い粉」の正体とは?
私は根っからの便秘症なので、検査前に服用する下剤を所望したところ、先生は「アノ、ホレ、白い粉のアレを出しておいて」とヤバイ表現で看護師に伝えました。普通なら、刺激系下剤のラキソベロンか赤い粒のプルゼニドを勧められるのに、「白い粉」って何だろう?と不安になりました。
処方薬はモビコールでしたが、ナント‼ お子ちゃまの量で処方箋が出ていたため、即、疑義照会されました。
検査当日
トイレの自動洗浄モードを解除するのは患者の責任か?
私がこのクリニックを選んだ一番の理由は、腸洗浄を自宅で行えるからでした。なんと言っても、内視鏡検査なんてアッという間に終わりますが、検査前の腸管洗浄には3時間程度もかかり(便秘の方は5時間かかることも)、検査よりも腸管洗浄の方が断然辛いと感じる人は私だけではないと思うのです。
自宅だと、誰に遠慮することなくトイレも使えますし、仕事だってそれなりにできるのです。でも、初めて腸洗浄をする方や超~高齢者は自宅では絶対無理だと思います。今回、モビプレップ1.5リットル(+水を半量)を飲みましたが、鼻につくニオイや膨満感を克服するには、それなりの経験と我慢が必要だからです。
過去から現在の腸洗浄剤は以下のとおりですが、どれも最初の口触りはよいのですが、後になればなるほどマズく感じて苦しくなります。私の場合、ピコプレップは飲んだことがありません。オレンジ味って、どんな感じかな~
クリニックに到着後、検査前の排便を指示され、参考に便の状態も見せるようにと言われました。残渣のない便に満足し、自信たっぷりに看護師さんを呼びに行きましたが、ナント‼、便器が自動洗浄モードになっていて、勢いよく流れてしまったではあーりませんか‼ これって、私のせい?
私の大腸カメラ歴は過去6回で「慣れっ子さん」の域に達していますが、比較的大腸が長いせいか、先生方は毎回苦労しています。案の定、今回も行き詰ってしまい、「神の手」を拝見することはできませんでした。残念~‼
『鬼滅の刃』お館様のようになったのは、まぼろしのポリープが原因かなぁ~?
大腸カメラを挿入してすぐにポリープが見つかったようで、着色されたポリープの写真が映し出されました。「切除となれば2万円コースになるな~」と思いつつも「早期発見で良かった。ラッキー‼」と、上行結腸から戻ってくる内視鏡君に期待を寄せていました。
先生は「ポリープが小さいうちに内視鏡的で切除するれば、大腸がんを予防できます。今日のうちに取っておきましょうね。」と言いました。それを聞いた途端、看護師さんは何かの袋を破り、準備を始めたのでしょうか、現場の空気に緊張感が走ったのでした。
「ん~、いよいよスネアに電気を流して切除手術が始まるなぁ~」と思いきや、「あれ?おかしいな~」と先生の気弱な声が聞こえてきたのです。ガチャガチャやっても、結局、初めに見つけたポリープを発見できず、内視鏡君はそのままホームへお帰りになりました。(スネアが入った無菌状態の袋って、破ったらどうなるのかな~、セロテープで閉じてまた使うのかな~ などと要らぬ心配をしながら私は更衣室へと向かい衣服を整えたのでした。)
検査後の説明では、「S状結腸にできることが多いポリープです。過形成ポリープなのでがん化の危険性は低く、基本的には切除する必要はありません。2~3年経ったらまた来てください。」と慰めのお言葉を頂きました。(オイオイ、そこまで断言できるのでしょうか?確か、ガン予防のため切除するとおっしゃいましたよね~)
その数日後のことです。一時間近くも暴れ回った内視鏡君が私の大事な腸内フローラをぶっ壊したせいでしょうか? ポリープ残存のショックがストレスになったからでしょうか? 私の免疫力はダダ下がりとなり、ヤバイ状況に陥ったのでした。この続きは、次回投稿します。
まとめ
内視鏡検査の辛さは医師の技量に大きく左右されると言われていますが、胃カメラと大腸カメラではその差がもっと顕著に現れると思います。
お医者さんによると、腸管壁が胃壁に比べはるかに薄いという理由だけではなく、大腸の走行には患者さんによって様々なパターンがあり、行き当たりばったりでカメラを挿入してしまうと迷路にはまってしまうそうです。
また、胃カメラに比べ大腸カメラの件数が少なく、医師がより多くの経験を積む機会に恵まれないとも言われています。
従って、私としては今回の事例を決して責めてはいません。私への対処がよい経験となり、次の患者さんに役に立てば良いと思っています。
大腸カメラのスペシャリストで山スキーでも有名な早川康浩 先生は「大腸がんで深刻な状態でやって来る患者の多くが、過去一度も大腸カメラを受けたことが無い人だ。一度でも受けていれば大腸がんのリスクはかなり減るのに…。」とおっしゃっていました。中年以降で一度も大腸カメラを受けたことのない方は、是非とも検査を受けてみてください。
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