お世継ぎ問題は皇室だけじゃない。一般家庭は女系女子を狙う時代に?

養殖魚脱走 臨床検査

前回は「天皇家の万世一系」について投稿しましたが、田舎の一般家庭にだって「お世継ぎ問題」はあるのです。

私たちの田舎では、勉強のできる猛者(モサ)は都会の超一流大学へ進学し、その後、第一線の企業戦士となって地元には戻ってきません。この様は、まるで手塩にかけて育て上げた高級魚が、ある日突然、網を破って逃げ出すようなものです。

全国の地方都市は競って「学力日本一」を目指し、多額の税金を費やし、愛情いっぱいで子育てに取り組んでいます。ところが、超少子化時代となった今、親の思いは随分変わってきているようです。

 

養殖魚脱走

 

 

日本の親は女の子を欲しがるってホント?

統計数理研究所の調査によると、この25年間、「男の子に家を継がせたい」という考え方が薄れ、女の子を希望する親が増えているそうです。

「女の子は親元に残りやすい」「男の子は引きこもりや家庭内暴力を起こしやすい」などと考える人は多いと思いますし、何よりも母親はショッピングやランチを友達のように楽しめる娘を望んでいるはずです。息子は結婚すると、「どうせ嫁のモノになり疎遠になるわッ!」ということはよく聞く話です。

一方、アジアの3ヶ国(韓国・台湾・中国)では男の子を欲しがる家庭が多ようです。特に中国では、男の子を希望する親が圧倒的に多く、「一人っ子政策」の時代では「男の子の産み分け」が横行し、若年層では男性の数が女性の数を大きく上回ってしまいました。結果、「マイホームを持てないような男には娘はやれない!」ということになって、低収入の男性は結婚できない状況に陥っているとのことです。

そこで今回は、「男女の産み分け」について深堀りします。

 

X精子とY精子にどのような違いがあるの?

ヒトの性染色体は2本の組み合わせとなっていますが、減数分裂によって精子と卵子には性染色体が1本しか含まれません。精子は「X染色体」か「Y染色体」のどちらか1本、卵子は「X染色体」を1本持っています。

そして、精子と卵子が出会った瞬間、つまり受精した時点で性染色体が2本になり、性別が決まるのです。「Y染色体を持つY精子」が卵子と結びつけば男の子が、「X染色体を持つX精子」が卵子と結びつけば女の子が生まれます。

男か? 女か? を決定づける二種類の精子には下記の特徴があり、この性質の違いによって「男女の産み分け」が試みられています。

X、Y精子

■Y精子の特徴

・射精されたY精子は、子宮の中で約1日ほど生存する

・Y精子は、アルカリ性の環境で生き残りやすい

・Y精子は、X精子よりも数が多い  ←なぜ、男ばかりにならないの?
(腟内が酸性のため、最初に多くのY精子が脱落するが、その先の子宮内部や子宮頚管部ではX精子の数とほぼ同数となり、結果、男女比がほぼ同じになると考えられていますが証明されたものではありません。)

・Y精子は、X精子と比較すると軽い

 

■X精子の特徴

・射精されたX精子は、子宮の中で約2~3日ほど生存

・X精子は、酸性の環境で生き残りやすい

・X精子は、Y精子と比較したら量が少ない

・X精子は、Y精子と比較したら重たい ←どれくらい重いの?
(Y精子より約7%重く、DNAの総量は2.8%程度多く存在すると言われています。)

 

現在、男女の産み分け方法はどうなってるの?

現在、医師の指導のもと選択可能な主な産み分け方法は下記のとおりです。費用は医療機関によって幅がありますが、ホームページ等を参考に記載しました。

①排卵日に着目した「タイミング法」

通常、女性の膣内は雑菌の侵入を防ぐために酸性になっていますが、排卵日が近づくと膣内がアルカリ性に傾くなど、様々な変化が生じます。よって、経腟超音波検査や尿中LH(黄体形成ホルモン)検査等で排卵日を予測し、男の子希望の場合は(アルカリ性下の)排卵日に、女の子希望の場合は(酸性下の)排卵日の2日前にセックスをするタイミングを図ります。

女の子希望の場合は、酸性・アルカリ性理論以外にも、X精子は射精され子宮の中で約2~3日生存するので授精可能、Y精子は約1日ほどしか生存できないので授精できないという、精子の生存日数を考慮した産み分けとなります。

産み分け指導(初診のみ)は3,300円程度で、初診以降のタイミング指導については保険適用内となります。

 

②膣内の酸性とアルカリ性に着目した「ゼリー法」

男の子希望の場合はアルカリ性の「グリーンゼリー」を、女の子希望の場合は酸性の「ピンクゼリー」をセックスの5分くらい前に添付の注射器で3~4cc腟内に注入し、Y精子、X精子それぞれの生き残りやすい環境差をつくります。

ピンクゼリー・グリーンゼリーとも、診察料に加え3~4回分11,000円程度となります。

 

③メカニズム不明の「リンカル服用法」

男の子の産み分け方法の1つですが、メカニズムは不明です。リン酸カルシウムを主成分とする「リンカル」を服用すると男の子が生まれやすい?というデータから、体質改善という名のもと、2ヶ月程度リンカルを飲み続けます。リンカル1か月分で3,300円程度となります。

 

④精子の比重に着目した「パーコール法」

パーコール法は女の子の産み分け方法の1つで、排卵日当日に実施します。経腟超音波検査や尿中LH(黄体形成ホルモン)検査等で排卵日を予測し、パーコール法の実施日を決定します。

採取した精液をパーコール液に入れ遠心分離器にかけ、X精子とY精子を分離(下の方に重いX精子、上の方に軽いY精子が溜まる)します。採取したX精子を人工授精用チューブで子宮内に注入することから「人工授精(AIH)」という医療行為になります。

診察料に加え費用は50,000~70,000円程度で、保険適用とはなりません。

【注】日本産婦人科学会は、安全性の理由から94年~06年までパーコール法を禁止としていましたが、06年4月に「再検討の結果、X精子とY精子を完全に選別することはできない。 よって産み分けできる科学的根拠はない。パーコール法の使用を容認するものではない。」と見解を出しつつ、パーコール法の禁止を撤回しました。

以上、四つの方法がありますが、結局は2種類の精子が混ざった状態になるので、「確実な産み分け方法」には至っていません。

 

じゃ~、もっと高精度な産み分け方法はないの?

天皇家において「男系男子のお世継ぎ」を今後も永続的に誕生させることは、一夫一婦制のもとではたいへんなことだと思います。でも、現代のサイエンス力を持ってすれば「男女の産み分け」がもっと高い確率で達成できることがお分かりになると思います。

最も高精度な産み分けを可能とする方法・手段は、「体外受精」+「着床前診断」となりますが、着床前診断は、繰り返しの流産や染色体異常などで妊娠を諦めていた夫婦のみに適用される高度な医療行為であって、単なる男女の産み分け希望程度では決して認められるものではありません。

そこで、「セルフシリンジ法(自宅で自分で精子を注入するので人工授精という医療行為に当たらない)」によるChromoS社(クロモス)のMicroSortⓇ「マイクロソート」を説明します。
説明の前に「人工授精」と「体外受精」「顕微授精」の違いを理解する必要があります。図にまとめましたので整理してください。

 

人工授精と体外受精

「人工授精」は、採取した精子を妊娠しやすい期間に、細いチューブで子宮内に注入する方法です。人工授精をしたからと言って、必ず妊娠するわけではなく、複数回行う必要があります。また、5~6回人工授精を行って妊娠しない場合、「体外受精」を勧める医師が多いといえます。

 

「体外受精」「顕微授精」とも、卵巣から複数の卵子を(麻酔下で)採取し、その後、卵子を完全に成熟させるために「培養」を行います。この後、卵子と精子を体外で受精させますが、「体外受精」とは、卵子の入っている培養液の中に精子を加え、受精するのを待つ方法なのです。

 

一方、「顕微授精」は、顕微鏡下で細い針を使って精子を捕まえ、その精子を卵子の中に直接注入する方法で、精子の数が少ない場合や活動が弱い精子に実施されます。人の手(オペレーション)が一つ余分に加わることになります。

 

その後、どちらの方法も、「受精卵」を育てるため数日間の培養を行なって、「胚盤胞」とよばれる着床前の状態にまで育てます。(複数の受精卵から良好なものを)子宮の中へ戻す「胚移植」というオペレーションを行いますが、残念ながら、良好な受精卵でも全てが着床して妊娠に至ることはありません。

 

不妊治療を行う施設は国内に約600施設あり、エンブリオロジスト(生殖補助医療胚培養士)と称する学会認定の有資格者が、医師の指導下で人工授精、体外受精、顕微授精に伴う採卵、採精業務に携わっています。生命誕生に関わる崇高なお仕事なので高い倫理観が求められることになります。

 

厚生労働省が公表した「不妊治療の実態に関する調査研究」(2020年度)を参考にすると、「人工授精」の費用は1回平均で約3万円、「体外受精」は約50万円、「顕微授精」は約65万円程度となります。

 

MicroSortⓇは、お世継ぎ問題を解決できるか?

 MicroSortⓇ「マイクロソート」はパーコール法と異なり、医療機関に通わず自宅で行える男女の産み分け方法として注目されています。

流れとしては、全国どこでも行える訳ではありませんが、専用容器に採精した精液を2時間以内に東京もしくは大阪のオフィスに持ち込み、その精液は凍結保存されChromoS「クロモス」社の契約ラボ(海外)で識別・分類されるそうです。男女に識別された希望の精子が依頼人に冷凍状態で(約2か月後に)送り返され、(室温に20分置いて)解凍して専用のシリンジ(長さが11cm程度)を用いて自分で膣内に注入するしくみです。

 

医療機関で行われる、排卵日人工授精用チューブ子宮内に注入する「人工授精(AIH)」とは異なるため、授精率(妊娠率)の低下は避けられないと思います。また、この手のモノは、道徳観や倫理観でストップがかかる場合があるので、「精子売買」や「精子の取違い」が発生しないような厳格なシステムが必要だと思われます。

 

ChromoS「クロモス」社は、精液検査を行う衛生検査所(東京都中央区保健所登録:2中中生医第336号)となっており、医療機関ではありませんが提携する婦人科などは紹介しているようです。

 

精子の識別は、X精子とY精子のDNA総量の差に基づくものと説明していますが、DNAに一定時間結び付く特殊な蛍光物質の使用とレーザー照射、提出・返送に伴う二度の凍結は気になるところです。同社のQ&Aでは問題ないとのことですが・・・

以下はChromoS「クロモス」社のホームページを参考に表にしたものです。

 

マイクロソート法

 

 

えっ~、家畜の世界って、もっと先を行っちゃってるの?

畜産業では家畜の雌雄で市場価値が大きく異なるため、産み分け技術への需要が高くなっています。昨年、広島大の研究チームが、マウス実験で効果的な雌雄の産み分けに成功し、人への応用も可能であると報じられました。

動物産み分け

 

まとめ

MicroSortⓇ「マイクロソート」による男女の産み分けは、数十万円以上を要するため、広く一般に普及しているとは思えませんが、価格が下がれば自宅で自分でできる手軽さから、産み分けが横行するかも知れません。

この方法による成功・失敗例を含む様々なデーターは、表に出ることはありませんので、いつの間にか日本人の男女比に歪みが生じ、中国のような嫁不足や婿不足に陥る可能性があります。

超少子化時代、「低価格で、男女産み分けの確率が8割以上、自宅でできる手軽さ!」となれば、多くの夫婦がカタログを請求し、宅急便の荷物に混ざって、冷凍されたX精子やY精子が飛び交う時代が来るかも知れません。万世一系を貫く天皇家にも宅急便が出入りすることになるのでしょうか?

 

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