「土木を少しでもかじった(経験した)者であれば、古都京都へ北陸新幹線を乗り入れることが、いかに困難であるかが解るはずだ!」という厳しい意見を頂きました。
「まだしも、従来の丹波篠山を通るルートだったら工事は簡単だが、多くの世界遺産を有する古都京都を南北に貫くルートなど、もっての外で、何とバチ当たりか!京都市民は絶対に許さないだろう。」と声を荒げる方もおられました。
先日、東日本高速の外環状(大深度)トンネル工事で空いた住宅地の大きな穴。あんなものを見せつけられたら、「京都のお人」がスンナリと大深度工法に目をつむってくださるとは思えへんのドス。
「また誰かが詰め腹を切らされる?」のではないかと、余計な心配をしているところです。
予想される京都市内の難工事
北陸新幹線の京都駅直結に係る大きな問題点を二つ挙げれば、「大深度地下トンネル掘削に生ずる土砂の搬出問題」と「ほぼ直角にクロスする北陸新幹線の深い地下駅と東海道新幹線地上駅とのアクセス問題」にあると考えられます。
大深度法に基づく地下40mの公共工事は、原則、移転等の補償は不要ですが、トンネル工事の場合、立坑(直径約30m)を掘って土砂を搬出しなければなりません。当然、立坑部分は、移転補償が必要となりますし、文化財や町家が密集する古都京都で立坑を掘るのは容易ではありません。
もし、立坑なしで大深度トンネルを掘るとしたら、青函トンネルのように並行する作業抗を掘って、遠くまで土砂を運び出す必要があるのです。
京都市の地下鉄工事においては、当時、大深度トンネルによる工法も検討されたそうですが、工事費が莫大になるため、烏丸通りの開削工法を選択したとのことです。
北陸新幹線においても、堀川通りの開削工法が検討されるかも知れませんが、多くの歴史的文化遺産が埋没している京都では、開削工法でも相当な時間がかかると予想されます。
次に、ほぼ直角にクロスする北陸新幹線の地下駅(大深度駅)と東海道新幹線の地上駅とのアクセス問題ですが、図のように、深い地下(40m)から地上の東海道新幹線に乗換えるための移動距離は、新幹線敦賀駅(高低差23m)の比ではありません。
「北陸新幹線が全線開業すれば、名古屋へは京都で乗換えればいいじゃないか」という意見をよく聞きますが、この乗換えは、敦賀駅以上の極めてハードな乗換えになると予想されます。
やはり、北陸新幹線敦賀駅と米原駅を結ぶ線路は、未来永劫、絶対に必要であると考えます。
京都市の西に位置するJR桂川駅や東向日駅付近に「東海道新幹線と北陸新幹線の新たな接続駅」を新設すれば、東海道新幹線に並行してホームを設置できて、かろうじて(大深度トンネル工事でない)高架乗入れが許されるかも知れませんが、京都駅直結という大原則を覆す禁じ手となってしまいます。
いづれにしても、たったの工事費2兆700億円たらずで大阪延伸が実現するとは思われません。
この先どうする北陸新幹線「たった46㎞のバイパス手術で北陸は救われる」
てなわけで、(乗換無しで大阪へアクセスできる)根治手術の終了には、長~い歳月が必要となります。この問題の詳しい状況や解決のための糸口を下記のキンドル本で発表しています。是非、ご一読いただきますようお願い申し上げます。
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