【めざせ!便秘薬コンセルジュ】これを読めば、あとは何とかなるかも⁉

サムネイル(便秘トップ) 消化器科

涙が出るほど便が出ない。気づいたら一週間も便が出ていない。出口に詰まっている感じがする。おなかが張って苦しい。そんな悩みを訴えてくる迷える患者さんですが、棚にズラリと並んだ便秘薬を見せても、数の多さに圧倒されてしまうと思われます。

サムネイル(便秘トップ)

 

クスリの使い方を間違えると効果が無いだけでなく、体に悪影響を及ぼすこともありますので、注意深く症状を聞き取り、どのタイプの便秘薬がふさわしいのかを説明できるようにしなければなりません。今回は便秘薬について投稿します。

 

まずは便秘のタイプを知りましょう

 便秘の種類には、腸管の基礎疾患(癌や癒着等)によって起こる「器質性便秘」と、いわゆる一般的な便秘と言われる「機能性便秘」があります。「器質性便秘」については、重篤かつ緊急性を伴う場合が多いので直ちに医療機関に行くことを勧めましょう。

器質性便秘

 

一般的な便秘と言われる「機能性便秘」には、痙攣性便秘弛緩性便秘直腸性便秘の3つのタイプがあります。また、医学的分類には当てはまりませんが、過度なダイエットによる食事性便秘も見受けられます。

 

機能性便秘

 

排便は毎日なくても、本人に不快感がなければあまり気にする必要はありませんが、3日以上出ないとか、排便の時に痛みや不快感がある場合は、薬の使用を検討します。

 

便秘薬を作用機序の違いから整理しましょう

  • 大腸刺激性下剤(ビサコジル、ピコスルファートナトリウム、大黄、センナなど)
  • 塩類下剤(酸化マグネシウムなど)
  • 浸潤性下剤(ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)など)
  • 膨張性下剤(カルメロース、プランタゴ・オバタ種皮、寒天など)
  • 薬局等では買えない処方薬(アミティーザ、リンゼス、グーフィス、モビコールなど)

「薬局等では買えない処方薬」については前回投稿を参照してください。

 

上記以外に「糖類下剤」という分類がありますが、乳幼児用のマルツエキス(麦芽糖を豊富に含んだシロップ)や、予防肝性脳症ののラクツロース(アンモニアの発生を抑える)、透析患者に使いやすいソルビトール(高マグネシウム血症の回避)など、特殊な適用となり、キレのある効果は期待できません。
また、「小腸刺激性下剤」であるヒマシ油等は、現在、ほとんど使われません。

 

市販薬のほとんどは「大腸刺激性成分」が入ってます

では、市販の便秘薬にはどんな種類があるのでしょうか?薬の作用に着目すると、以下の①~⑤に分類できます。

便秘薬表①

便秘薬表②

市販薬は、①~④の成分がブレンドされてできていますが、ほとんどのクスリに含まれているのが①の「大腸刺激性成分」です。

 

市販薬のイメージとしては、効果が出やすい「大腸刺激性成分」をベースに、「浸潤性成分」「膨張性成分」を適宜加えたモノ。と考えれば解りやすいかと思います。

 

大腸刺激性成分は他の成分に比べて効果が確実なので、便秘薬を名乗る以上、この成分だけは欠かせないということになるのでしょうね。ちなみに、慢性便秘を訴えて医療機関にかかると、まずは②の塩類下剤(酸化マグネシウム等)が処方されます。

 

大腸刺激性の代表的な成分には、ビサコジルやピコスルファートナトリウム、センノシドなどがありますが、パッケージに「植物性」「ナチュラル」「生薬由来」などと書いてあると、ほとんどがセンナとダイオウを含むもので、「体にやさしい」とは言え、れっきとした大腸刺激性下剤なので習慣性については注意が必要です。
また、痙攣性便秘には悪影響を及ぼしますので患者さんの便秘のタイプをよく確認することが大切です。

 

 絵とロゴで楽しく覚えましょう

随分前の投稿から絵とロゴを引っ張り出してきましたが、今見ると恥ずかしくなります。すいまっしぇ~ん。

モビコール®小児にも使える慢性便秘薬(用量設定が難しい処方薬)ですが、適用は「2歳以上の小児」となっています。2歳未満の乳幼児には、浣腸かマルツエキスかの選択となりますが、即効性と確実な排便という点では浣腸が効果的となります。

覚え方①

 

覚え方②

覚え方③

 

 

くすりのレビュー、国家試験の勉強に役立つYouTube動画

yakulab info 下田武先生
便秘に用いる薬のまとめ:15分15秒

酸化マグネシウム:10分01秒

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