「胃腸薬知らず」は腹何分目から?でもね~腹四分じゃ死んじゃうよ~

腹八分 OTC

腹八分

 

腹八分目で医者いらず、腹六分目で老い知らず、腹四分目で神に近づく」という言い伝えがあるそうです。
でも、最近のフードロス問題も相まって、残すことに罪悪感を覚えてツイツイ食べ過ぎてしまう方は多いのではないでしょうか?

 

という訳で、今回は「医者に行くレベルではないが、ちょっと食べ過ぎて胃の調子が悪い」という場合に服用する総合胃腸薬について投稿します。

 

 

「処方薬」と「市販薬」の比較

医療機関でもらう胃薬はほとんどが単一成分ですが、市販の総合胃腸薬は多くの成分が含まれる「配合剤」です。
また、医療用と同じ成分が入っていてもその量は、約1/2~1/3の場合が多いようです。

 

総合胃腸薬の主な成分は、「胃粘膜保護薬」、「制酸薬」、「消化酵素」、「鎮痙薬」、「健胃薬(生薬)」などとなっているので、これらの組み合わせをよく見て商品を選ばなくてはなりません。

 

処方薬にあって市販薬にないもの

病院で処方される薬としては以下のようなものがあり、多くの場合、胃カメラなどで精密な検査をしてから処方されます。一方、市販薬には効き目の強いものは少なく、成分量も低く抑えられています。

 

<胃酸分泌を抑えるもの>

 

 

酸を抑える

 

「ガストール」は、ピレンゼピン以外に消化酵素や制酸薬が配合されています。ピレンゼピンの副作用に「まぶしさ」があり、服用後の運転はできないことになっています。また、ピレンゼピンの配合量が医療用の半分以下と少なく、ガスター10に比べて効き目が弱いとされています。

 

<胃粘膜を修復・保護するもの>

胃粘膜保護

 

セルベックス(テプレノン)ムコスタ(レバミピド)の違いですが、セルベックスは、空腹時に服用すると吸収が悪くなる(血中濃度-時間曲線下面積が低下する)ことがわかっています。一方、ムコスタは食事の影響を受けることはありませんが、残念ながら市販薬はありません。

 

 

<胃腸の運動機能を改善するもの>

胃の運動亢進

 

市販薬にはアセチルコリンを増やして胃の働きを良くするものはありません。市販薬では、生薬の苦み成分で胃を活発にしたり、消化酵素によって消化を助けます。

 

 

「受診勧奨」と「市販薬選択」の見極め

市販薬を勧めず「受診勧奨」を勧めるケース

前回投稿した「よくある腹痛の相談はこれで安心」は医者に行くべき患者さん向けのものでした。次のような症状のある方には速やかな専門医の診察を促しましょう。

受診勧奨

 

市販薬を勧めて様子を見るケース

 

試すべき症状

 

症状がある程度推測できる場合は、その症状にあった薬を選びましょう。ただし、市販薬を用いて一週間経っても良くならない場合は、受診勧奨が必要です。

①胃が痛い、②胸やけがする

「胃酸によって胃が傷ついている」「胃食道逆流症」などが疑われます。従って、胃酸の分泌を抑える(ガスター10)か、胃酸から胃を守る(スクラート)、胃酸を中和する(炭酸水素ナトリウム、合成ケイ酸アルミニウム)を含む薬を選びます。

 

 

胃酸おさえる

 

③胃もたれ、④症状が絞れずなんとなく調子が悪い

総合胃腸薬を選択しますが、胃が弱って食欲不振の時は「太田胃散」を。比較的軽度の胃の不調で症状が絞り切れない時は、「第一三共胃腸薬S」「パンシロン01プラス」「キャベジンコーワα」を選びます。

 

また、授乳中の女性や前立腺肥大の患者さんにはロートエキスを含まない総合胃腸薬を勧めましょう。

 

総合胃腸薬

 

機能性ディスペプシア(FD)、腹部膨満感、げっぷなど

胃の器質的異常は認めないものの、腹部の膨満感や胃もたれ、げっぷなどで悩んでいる人。または、ストレスが原因で胃に不調を感じている人には、漢方製剤を勧めることもアリです。

漢方

 

 

 

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yakulab info 下田武先生

漢方薬 安中散と六君子湯の比較:7分02秒

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