栄養ドリンクの「ファイト一発」と「愛情一本」、差し入れならどっちを選ぶ?

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「疲れたな」「風邪気味かな」と思った時に飲みたくなる「栄養ドリンク剤」ですが、スポーツ大会への激励や地域活動への労いを込めて、差し入れの品に選ぶこともしばしばです。

 

そんな時、「ファイト一発のリポビタンD」(50本で約5千円)にするか、「愛情一本のチオビタ」(50本で約3千円) にするかで迷うところですが、皆様はどうしているでしょうか?

 

失礼な話ですが、チオビタは値段が安いので、「ケチ」+「チオビタ」「ケチオビタ」と揶揄する人がいるようで、そう言われないように高い方のリポビタンDを選ぶ人もいるようです。

 

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「リポD」と「チオビタ」はどこがどう違うの?

「リポビタンD」と「チオビタ」の配合成分・量を調べてみると両者は驚くほど似ていて、違うのは「値段」と「味」だけです。もし、値段が高いリポビタンDの方がチオビタよりも「効く~」とおっしゃるのなら、それは「値段が高いから効くはずだ」というプラセボ効果かも知れません。

 

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そもそも栄養ドリンクの効果については、科学的データーに乏しく、乱暴な言い方をすれば、「価格の高いドリンクの方が効き目を実感しやすい」と言われています。

 

 「1000mg配合のタウリン」って何者?

タウリンは、たんぱく質が分解される過程で生じるアミノ酸に似た物質(アミノ誘導体)です。貝類やイカ・タコといった軟体動物に多く含まれ、ヒトにも体重の0.1%のタウリンがあるといわれています。心臓・肺・肝臓・脳・骨髄などの多くの臓器や組織に広く含まれていることから、「生命の維持に必要な成分」と考えられています。

 

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タウリンの作用機序は十分に解明されていませんが、胆汁酸と結びつくことでコレステロールを消費してコレステロールを減らす、心臓や肝臓の機能を高める、視力の回復、インスリン分泌促進、高血圧の予防など、様々な効果があると言われています。

 

また、母乳の中にも多く含まれ、乳児の発達(新生児の脳や網膜の発育)にも関わっているとの報告もあります。

 

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猫は、体内にタウリンを合成する酵素を持っておらず、タウリンの欠乏によって、拡張型心筋症を発症します。そのため、多くのキャットフードにタウリンが配合されていることは「理にかなっている」と言えるのです。

 

一方、ヒトの場合は、タウリンを食事から摂取し、体内でも合成できるので「タウリン欠乏症」の報告はありません。また、タウリンは水溶性なので、過剰摂取しても尿中に排斥されるので問題はなさそうです。

 

ということは、私たちは、栄養ドリンク(用量1日1本)から必要もないタウリンをガンガン摂取し、過剰となったタウリンをただオシッコに流しているだけなのでしょうか?

 

価格の安い(100円~500円の)栄養ドリンクは、タウリン・ビタミン類・カフェインが主成分となっています。少なくとも、速効性を自覚できるのはカフェインだけで、タウリンやビタミン類の効果は残念ながら自覚できないのです。

 

 

高価な栄養ドリンクの正体は⁉

価格の高い(500円以上の)栄養ドリンクと、価格の安い(100円~500円の)栄養ドリンクの価格差はどこにあるのでしょうか?その答えは「生薬の量にある」です。

 

安い栄養ドリンクは、ビタミン類やカフェインを中心に作られ、高い栄養ドリンクは、滋養強壮成分である「人参」をメインに、いかにも高そうな「鹿茸(ろくじょう)エキス」や「冬虫夏草エキス」などを含むものまであります。

 

生薬を含む栄養ドリンクで有名なのは大正製薬の「ゼナ」佐藤製薬の「ユンケル」シリーズですが、特に種類が多いのは「ユンケル」です。アイテム数は指定医薬部外品(コンビニで買えるもの)を含め、「ゼナ」の数種類に比べ「ユンケル」は20種類以上もあってとても覚え切れません。

 

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そこで、高級栄養ドリンクを試してみた‼

数ある生薬配合の高級栄養ドリンクを独断で選んで飲んでみました。もちろん、成人(15歳以上)一日1回1本の用法・用量を遵守して、3日間かけて試飲しました。

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ゼナF0攻力液 500円クラス

指定医薬部外品(コンビニで買える)である大正製薬の「ゼナF0攻力液」は、「人参」「甘草」「生姜」などお馴染みの生薬に、南米アマゾンの強壮生薬「ムイラプアマ」と砂漠環境で生育する「肉蓯蓉」(ニクジュヨウ)など耳馴れない生薬も加えた計7種類の生薬を配合しています。兄貴分の「ゼナF-Ⅱ活力液」は第二類医薬品で、もっと多い計13種類の生薬が配合されています。

 

若干、粘性のある液体で、生姜(ショウキョウ)流エキス0.3mlのせいでしょうか?飲んですぐに、辛口のジンジャーエールを飲んだ時のような喉への刺激を感じました。漢方薬にイメージされるような独特のニオイや風味はそれほど強くありませんでした。

 

ユンケル黄帝液プレミアム 1000円クラス

佐藤製薬の「ユンケル黄帝液プレミアム」は「青のユンケル」と称され、植物性生薬のオウギ、ショウキョウ、タイソウ、トウキ、ビャクジュツの他に、動物性生薬である牛黄(牛の胆嚢に生じた結石)反鼻(マムシの皮と内臓を除いて乾燥させたもの)、シベット(ジャコウネコの腺分泌物)など、計11種類の生薬が配合されています。第二類医薬品なのでコンビニでは買えません。

 

細長~い箱に、ムッチャ背の低い小瓶(30ml)が収納されています。販売戦略なのでしょうか?「梱包に隠されたメーカーさんの意図」が気になってしまいます。

 

30mlと、量が少ないので、一気に飲むのをためらいます。マムシ牛、ジャコウネコの由来成分に期待しましたが、それらしい味も効果も全く分かりませんでした。でも、飲んだ瞬間、ゼナF0攻力液よりも喉への刺激を強く感じ、鈍感な私にもランクの違いは感じ取れました。

 

ユンケルスター 4000円クラス

「ユンケルスター」は圧倒的多数の植物性生薬を配合していますが、動物性生薬については、ユンケル黄帝液プレミアムより(牛黄とシベットは含まない)少なくなっています。また、カフェインなしで堂々と勝負を挑んできます。定価は4000円を超えますが、通販やドラックストアーでは一本2800円程度で販売されています。

 

高級感を高めるためか?はめ込み式の金メッキのキャップがついています。さすが「ドリンク界の極み」、飲む前から「異次元」の演出を仕掛けてきます。ここぞという時にしか飲めないシロモノなので、否が応でも期待が高まります。もしかして、一生飲むことはないと思い、舐めるようにチビチビと飲みました。

 

飲んだ瞬間、生薬の味わいが口全体に広がり、気のせいでしょうか体に若干の灼熱感を感じました。値段を考えれば、カラダよりも脳の方が即座に反応してしまったのかも?でも、お世辞抜きに、他のドリンク剤との違いが分かり、「金返せ!」という悲しい結末にはなりませんでした。

 

まとめ

あくまでも個人の見解ですが、価格の安い(100円~500円の)栄養ドリンクなら、「味」・「カフェインの量」・「価格」を考慮して決めるべきだと思います。タウリンやビタミン類の量が決定打になるとは思われません。

 

価格の高い(500円以上の)栄養ドリンクなら、割り切って定価1000円以上のものを選ぶべきだと思います。ある程度の生薬の量が入っていないと、「効いてるぞ」という暗示が得られないと思うのです。

 

 

 

 

 

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