市販薬を使って、花粉症を「安く」「有効に」抑えたいなら何を選ぶ?

サムネイル OTC

「花粉症の治療にいくらかかるか?」の問いに対し、厚労省ホームページでの回答は以下のとおりでした。

 

検査を伴う最初の診察で約6,000円(3割負担で)必要で、その後約2か月間(ワンシーズン)の薬剤等(経口薬、点鼻薬、点眼薬など)に要する費用を合わせると12,000円から17,000円程度になるとのことでした。

 

そこで、「処方薬vs市販薬」ということで、市販薬を使ってどれだけ花粉症に対抗できるかを検証してみました。

 

「処方薬」に対抗する「市販薬」には何があるの?

 

処方薬

 

 

市販薬

 

市販薬には「抗ロイコトリエン薬」「ステロイド点眼薬」はないものの、鼻づまりや目のかゆみに対してはそれなりのラインナップが整っています。

 

抗ロイコトリエン薬は喘息にも使われる薬なので、今後もОTC化されることは無いと思われます。目薬については、血管収縮成分(目の充血をとる)を含まないものを選択しなければなりません。理由は、充血をとっても根本の治療にはならず、連用によってかえって悪化するからです。

 

飲み薬が一番効くとは思わないで‼

飲み遅れ

 

花粉症は体内に取り込まれた花粉が肥満細胞を刺激し、結果、飛び出したヒスタミンやその他の化学伝達物質が血管や神経に作用して、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどの症状を引き起こします。
免疫システム・肥満細胞については、前回投稿を参考にしてください。

 

「抗ヒスタミン薬」は先回りして、ヒスタミンがH1受容体にくっつく前にブロックの体制を整えます。
一方、「ケミカルメディエータ遊離阻害薬」は肥満細胞に対して、ヒスタミンなどの化学伝達物質をあまり多く遊離しないように働きかけます。

 

従って、飲み薬は、肥満細胞から化学伝達物質が飛びだす前(花粉シーズンが始まる前)に服用しなければ十分な効果が得られないということになります。

 

また、飲み薬には服用するタイミング(アレジオンは食後服用で効果減)や併用する薬(アレグラは酸化マグネシウム併用で効果減)で効果が著しく減少するものがあるので注意が必要です。

 

 

鼻症状に対してはステロイド点鼻薬の方が効果が高いってホント⁉

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アレグラをはじめとする多くの「第二世代抗ヒスタミン薬」が発売され続ける中、「ステロイド点鼻薬」と「抗ヒスタミン薬の服用」のどっちが効果的か?の研究や実験が世界中で行われているようです。

 

「アレルギーと鼻科に関する国際コンセンサス声明2018:アレルギー性鼻炎」(PMID:29438602)によれば、今のところ「ステロイド点鼻薬の方が、抗ヒスタミン薬の内服よりも効率的に症状を抑えられる」というのが定説にとなっていて、病院にかかればほとんどの場合、抗ヒスタミン薬に加えてステロイド点鼻薬も処方されます。

 

この優位性は市販薬においても同じで、抗ヒスタミン薬の服用が遅れた場合は、フルナーゼナザールといったステロイド点鼻薬の方がよく効いたという患者さんは多いのではないでしょうか?

 

フルナーゼ(2022年11月より第1類に)を例にとれば、1本が約1,800円で14日間(56噴霧を一日2回両鼻に)使用できます。約2カ月間のワンシーズン使用で約7,200円となり、冒頭で述べた12,000円~17,000円よりは随分お安くなると思われます。

 

ステロイドが怖いという患者さんには、箱に書いてある「季節性アレルギー専用」を見せて、使用が花粉シーズンの短期間であること。実際、局所に使用するので副作用がほとんどでないこと。眠気の心配がないこと…。等々を説明すべきでしょう。

 

また、セールストークとしては「ステロイド点鼻薬の効果発現には少々時間がかかります。すぐにでも鼻づまりを取り去りたい場合は、ナシビンのような点鼻用の血管収縮薬が効果的です。ただし、血管収縮薬は何度も使えるお薬ではありませんので注意してくださいね。」といったところでしょうか?

 

 

今後登場する「抗ヒスタミン薬」のエースは?

番付表

 

現在の市販薬には、ビラノア(ビラスチン)、デザレックス(デスロラタジン)、ルパフィン(ルバタジン)、ザイザル(レボセチリジン)などはありませんが、いずれOTC化されることは間違いありません。

 

そうなると、ビラノアは比較的に即効性が高く、眠くならないので人気が期待されます。製造販売元は大鵬薬品工業のようですが、「CMに誰を起用するのか?」これぞ処方薬にはない、市販薬の楽しみですよね。

 

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