「噛まずに舐めてなアカン」トローチですが、ナメたらアカン副作用!

見出し絵 OTC

今回はトローチ錠について投稿します。
トローチ錠は、唾液によって徐々に溶解されて口腔や咽頭の粘膜を局所的に殺菌してくれます。喉に痛みや違和感を感じた時、飴を舐める要領で用いますが、湿布や絆創膏と同じ「外用薬」に分類されます。

 

病院でもらうトローチ錠(SPトローチなど)は殺菌成分のある単味のものですが、 市販のトローチ錠には、「これでもか!」と言わんばかりに複数の成分が含まれています。

 

ドラッグストアーなどで販売される「第2類、第3類医薬品のトローチ」には、「咳を抑える成分(デキストロメトルファン)」や「気管支を拡張する成分(メチルエフェドリン)」などが配合されていて、成分が風邪薬と重複する場合があります。

 

風邪薬を同時に購入する患者さんには、薬の作用が強く現れたり副作用等に繋がる心配がありますので、併用の注意を促す必要があります。

 

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「水あり・水なし」「口で溶かす・噛む」薬の作用ってどう違うの?

説明1

 

口腔内のどの場所に薬を置くかで薬効が異なってきます。
舌下(ぜっか)は上皮が薄く、粘膜下の血管も豊富なので薬が速やかに吸収されます。狭心症の発作時にニトログリセリン製剤を舌下に入れると、1〜2分で効果が得られます。

 

舌下錠とよく似ているバッカル錠は、奥歯と頬の間(バッカル部位)にはさみ、唾液によって徐々に溶解させ口腔粘膜から吸収させる薬です。舌下錠と比べて、効果が現れる時間は長くなりますが、脂溶性の薬でも吸収されやすく、全身作用も期待できます。主に炎症を止める抗炎症作用薬、ステロイドホルモン剤、がんの疼痛治療薬(鎮痛作用薬)などに用いられます。

 

トローチ錠は、口腔、咽頭などの粘膜を殺菌したり、炎症を鎮める目的で使います。口内で飴を舐めるようにゆっくりと溶かし、溶けた薬を患部に送り流すイメージで用います。

 

 

トローチ錠の「処方薬」と「市販薬」の違いは?

説明2

 

病院で処方されるトローチからコンビニで販売されるトローチに至るまで、共通している成分は殺菌成分で、「デカリニウム」「セチルピリジニウム」「クロルヘキシジン(外皮用消毒薬)のいづれかが含まれています。これらの成分は、細菌のタンパク質を凝固させることで殺菌作用を示し、ウイルスには効き目がありません。唾液中のグラム陽性菌や真菌に対して抗菌作用があります。

 

セチルピリジニウム」については、大正製薬と山口大学の研究で「新型コロナウイルス変異株(オミクロン株 BA.2系統TY40-385)への不活化作用がある」と発表されましたが、あくまでもin vitroの試験結果なので「コロナに効く!」などと宣伝してはNGとなります。

セチルビリジニウム

 

ドラッグストアーなどで販売される「のどの痛みに効く!」と書かれたトローチには、「喉の炎症を抑える成分(アズレンスルホン酸など)」や「咳を抑える成分(デキストロメトルファンなど)」が配合されています。

 

風邪を早く治したい、無理をしても仕事に行かねばならない患者さんは、風邪薬とトローチを同時に購入するケースが多いので、本来、併用のチェックをお願いしたいところですが、現状では(相談されない限り)レジを通過していくようです。

 

 

市販トローチ錠の一押しは?

販売する立場で選ぶなら?

薬学的見地からは「トローチの必要性」に疑問を感じますが、売り場に立つ登録販売者や薬剤師さんの立場からは「あまり効き目がない、意味がない」とは決して言えないと思われます。

ですから、

セールストーク①

セールス②

と言ったところでしょうか?

 

ホンネを言うならば?

素朴な疑問として、「カゼの原因はほとんどがウイルスなのに、トローチで口腔内の細菌を殺すことに意味があるのでしょうか?免疫に関わる細胞も殺してしまうのではないでしょうか?」と聞かれたらどうしましょうか?

 

用意された反論(模範解答)は、「トローチを舐めることで唾液の分泌が増して、喉の乾燥を抑えたり口腔内の免疫力を高めてくれて感染予防に役立ちます。また、トローチの殺菌作用は口臭予防うがい薬の代用品としてもご利用になれますので、薬箱にトローチが余っていても廃棄せずに有効にご活用ください。」とのこと。

 

OTC医薬品は、税金や保険料を使って提供される医療用医薬品と異なり、全額患者さんの負担で購入される薬なので、「高かろうが」「効かなかろうが」(本人が納得していれば)自由だ~。ということでしょうか。

 

自由だ

 

第2類相当の医薬品をレジに持っていったところで、これまで一度も「あーだ、こーだ」言われたことはないと思いますが、患者さんから「○○に効くトローチを探して欲しい」と頼まれれば、登録販売者か薬剤師の出番となります。

 

もし、その患者さんが風邪薬を服用している場合、「トローチの成分は風邪薬と重なりますので必要ありませんよ。ノド飴で十分です。」と言って、お菓子コーナーへお客様を案内したらお店をクビになるのしょうか?

 

 

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